シヴィリゼーション

トーマス・H・インス、1916。サイレント映画の黄金期は1916-28年位だと言われている。これは初期の大作でダイナミックな映画になっている。とにかく大勢の人がわんさか動いている。半透明なキリストが出てきたり国王も半透明になったりする。結局は第一次大戦機に平和条約を締結しようというメッセージが込められているのだと思う。この映画は小津が影響を受けたということで見たのだが、その影響はよくわからなかった。90点。

アイリッシュマン

マーティン・スコセッシ、2019。Netflix映画。これはNetflixを解約する前に見とかにゃならん映画だったから見た。中心となる演者が年を取りすぎているのもネックだったし、原作や史実に忠実にした結果だと思うのだけれど、少しわかりにくい部分があった。あとは尺が長すぎて終わりの頃には最初の方を覚えていなかった。スコセッシは切れのある演出を見せており名シーンがたくさん見られた。2度続けて見たものだから頭が疲れまくっている。95点。

もう終わりにしよう。

チャーリー・カウフマン、2020。Netflix。カウフマンはもともと苦手なのだが、これは苦手なカウフマン決定版的な仕上がりになっていた。インテリ会話の字幕に追いつけず、奇妙な世界に乗り切れず、半分くらいしか内容を理解できなかった。でもこういう売れなさそうな映画は配信サイトが得意とするところなので、時代は良い方向に向かっていると実感した。90点。

進撃の巨人 ATTACK ON TITAN 前篇・後篇

樋口真嗣、2015。アニメにハマってしまい映画も見たのだが、これはヒドかった。脚色からして大いに飛躍させているように見えるのだが、それでいて原作に縛られてしまっている。前篇は特にヒドかった。カメラも人も動いてばかりで落ち着きがない。そして決めのショットのカッコ悪さ。あとは内容をぶっ込みすぎてなにをやっているのかよくわからない。後篇ではやや落ち着いてみることができた。CGもちょっとひどくて石が落ちる何気ないCG描写にもリアリティがまるでなく残念だった。アニメ版は見るのが止まらなくなったが、映画版は見るのが苦痛だった。85点。

オールド・ガード

ジーナ・プリンス=バイスウッド、2020。死ねなくなってしまった戦士たちの物語。不死身の快進撃を見せつけるような映画ではなく、不死身であることはかなりネガティブに捉えられている。さらには寿命もあるらしくて、シャーリーズ・セロンはどうももうすぐ死ぬらしい。どうしても陰鬱なムードの中で話は進むのだが、シャーリーズ・セロンは今作でも絶好調である。カッコいいという概念には男性なんか必要ないんじゃないかってくらいにカッコいい。そしてアクションも相変わらず素晴らしい。もう少し不死身であることの面白さを描けると良かったと思う。続編もやる気みたいだから楽しみにしている。90点。

ボヘミアン・ラプソディ

ブライアン・シンガー、2018。クイーンの伝記映画。クイーンには特に思い入れはない。この映画は劇場でこそ真価を発揮する映画だと思った。複雑なストーリーや小細工などは排して、職業監督のようにブライアン・シンガーは撮っているのだがそこがいい。音楽の力を信じ切って撮っている感じがすごく伝わってきた。でも生ぬるい映画だなという印象は拭い去れなかったけれど、最後のライブエイドで見事に印象は覆された。クイーンの音楽にはまるで興味がなくてもあのライブエイドは感動的だった。あざとい演出などがないところが素晴らしい。95点。

ミス・アメリカーナ

ラナ・ウィルソン、2020。Netflix。テイラー・スウィフトのドキュメンタリー。なんてことはないドキュメンタリーなのだが、子供の頃のビデオ映像がちゃんと残っていて、これが20年後のアーティストになってくるとスマホのせいで誰でも撮影者になるってことで、これからドキュメンタリーの世界の過去映像はどんどん変わっていくのだなあと感じた。あとは過去のパブリックな映像なんかは全部YouTubeに上がってるから、こちらも変化が必要になってくる。この映画では、太った問題、カニエ問題、政治問題などよく知られたネタを振り返ったりする。どれも真摯に答えていた。曲を作りながら話が流れていくところが素敵だった。90点。

グッド・タイム

ジョシュ・サフディ、ベニー・サフディ、2017。『アンカット・ダイヤモンド』の監督の作品。いきあたりばったりに物語が展開し、キャラクター描写は放置されることもある。特に16歳の女はもっと使いようがあると思う。でもそういうキャラクタライズはほとんど排除されており、そもそも主人公ロバート・パティンソンと一番長くいる、間違えられた男すらもキャラクタライズされる描写は少ない。クレジットカード女もしかり。そういう殺伐とした感じはノンストップスリラーとしての体裁を見事に保っており、映像と編集もそれに呼応している。散らばらせたプロットの回収なんてことは端からする気はなく、ひたすら思い通りにならない状況に主人公をさらしつずけるのは、とてもいさぎよく思えた。95点。

探偵はBARにいる3

吉田照幸、2017。おなじみのシリーズ物。いままでのが好きであればまあ楽しめるのではないかと思う。いままでのがイマイチだったり、この映画単体として見たときには不甲斐なさが残ると思う。見る者の好奇心を誘うようなプロットなどは見られないし、全部説明をかぶせてくるあたりは、テレビドラマでも見ているような感覚だった。役者は馴染みのメンツは予想通りの好演をしていた。しかしいわゆるゲスト陣はバラツキがあった。シリーズのなかで物語の起伏は一番なく、二時間超が少し長く感じられた。90点。

CURE キュア

黒沢清、1997。この映画は公開当時に劇場で見てよくわからなかった。一緒に見た友人は大傑作だと興奮していた。だからもう一度見たのだが、やっぱりよくわからなかった。サイコサスペンスのようなドラマなんだけど、現実味のある人がドライに人を殺すから面白いのだろうと思う。液体のモチーフや光のモチーフを見逃しているとよくわからなくなる。説明を省いた映画なのだが、結局見る側の想像力に委ねる部分が多すぎてげんなりしてしまった。社会に異物が混入すると回りがどんどん変わっていくという意味では『人間合格』と近いものを感じた。深読みの誘惑に駆られることなく見終わってしまったのは残念である。90点。