シークレット・サンシャイン

イ・チャンドン、2007。とてもつまらない映画。つまらない映画を見ると考える。面白い映画は面白かった~。スゲー。あのシーン、あのカットスゲー。あの女優カッケーってな感じで終わるんだけど、つまらない映画は何故つまらなかったのかを考えるわけだ。メンドクサイけど真面目だから、「苦手」とか「嫌い」だけで誤魔化せないんだな。まず主人公がとても分かりにくい人物設定だ。ソウル人が死んだ夫の故郷に住むというのは実はこじつけで、ソウルではいろいろあったりしたんだが、ここが人物設定として上手く説明出来ていない。主演女優は演技派が災いし「演じる」ことに過剰に陶酔しているように見える。ストリッパーみたいなもんだね。「よっ、ネエちゃん」って言いたくなる。主演俳優はよく見かける人だが、彼以外にこういうの出来る人がいないから、彼スゲーって言われるんだろうけど、それは裏を返せば韓国映画は相変わらず危機的な状況にあるということなんだなぁとその薄さビビった。彼は好きな役者。脚本の作り方が、不器用すぎて洒落てない。後々登場するカットの前振りですよ~っていうのが前振りの段階で分かる。分かってしまうから、後からそれが出てくると見ているのがちょっと恥ずかしい。「さっきがこうで今度がこうだから、ふむふむそういうことか」なんてお洒落に表現しないとだめだよ。シーケンスメイクが下手で、シーケンスが始まった時に、こういうシーケンスをメイクしますってのが分かり、頭の中はもうストーリーが進行してしまう。それでシーケンスメイクが普通すぎるから、想定外の画も無くつまらない。ワンショットに意味を持たせようとし過ぎている部分が多いとも感じた。特に男女2人の関係性の映像描写。これは過剰サービス気味。僕が決定的に面白くないと思ったのはキリスト教の取り扱い。宗教音痴日本の居酒屋の会話レベルの価値観、宗教観しか映像として表現出来ていない。間違いなく社会派エンタメムービーなんだから、もっとエグって頂戴と思う。つまり、宗教観に基づく映画であればいいんだが(ギドクみたいなね)、社会派として宗教を提示している映画なんだよ。その提示がテキトーなんだよ。怠けてんじゃないよと思う。僕はイ・チャンドンを一本しか見てない。だから彼をシネアストとして語るのは難しいのだが、イ・チャンドンはスリリングな事をを日常的に描く。トリュフォーは日常をスリリングに描く。僕はトリュフォーが好きなんだよ。こうしてつまらない映画でもあーだこーだと酒の肴に出来る。映画って本当に面白い。 85点。