悪人

リ・サンイル、2010。僕はちょっとリ・サンイルの知り合いがいて、前作『フラガール』はやってしまいました映画という扱いらしい。要するに商業映画に徹した作品。いつも己を出す監督で、『スクラップ・ヘブン』とか『69 sixty nine』とかはもう見ただけでリ・サンイル印の作品という感じ。大胆なカッティング、色使いなんかはリ・サンイルとすぐに分かるこれは『青』でもそうだった。それを商業に徹したフラガールで職業監督として仕事をした。その次どうなるか。そして出た結果は、商業的駄作。『フラガール』はリ・サンイルにしてはムードが明るいからまだいい。でもこの映画は暗い。とても暗い。雨が降り続き、夜に山の中で何かが起こる。この閉塞感の中、話は進む。僕は根本的な論理が良く分からなかった。悪い人が悪いことをするわけではない。悪いことをした人が悪い人である。悪人というのはこれに尽きるんだけど、どうもマスコミ、岡田将生、悪徳商法、あと妻夫木。この辺りの悪の規定に僕は疑問をいだいたね。それはこの映画の根本だから、僕には映画はどうでも良いものになってしまった。映画のプレダクトデザインとしては、久石譲の音楽が酷い。2時間ドラマのような音楽。聴いてられない。撮影照明はあまり気づかせてくれるものは無かった。やっぱりこれは脚本の映画。だからドラマを作る手法で、大胆なことはしていない。役者でいえば、岡田将生と満島ひかりはとても良かった。このレベルの役でこのレベルの俳優がいるのは日本映画も頼もしいね。あとベテラン俳優の間のとり方。これが長い長い。こういうのあっさり片付けてサクサク進んでもらいたかった。シーンメイクは単純だし、脚本も単純だし、よくこんな映画とってしまったねリ・サンイル。彼がクリエイションを維持して商業映画を撮る。つまり森田芳光的なポジションに行きたいのだとすれば、もうちょっと単純に面白い映画を撮れないとね。いつも暗いし。あと尺が長過ぎる。僕は140分とかそのくらいの映画は大嫌い。