英国王のスピーチ

トム・フーパー、2010。なんか最後の方でバディ・ムーヴィみたいになってこりゃヤラれたと思った。もちろんこの映画はヘレナ・ボナム=カーターを含めた3人の映画。彼女は最後にジェフリー・ラッシュにかけた言葉も素晴らしい。終わりの方は良かったけれど、途中は眠くなった。英国王室のことはよく知っているから、ストーリーは面白くなかった。カメラは対象を正面から撮影することが多く、異常なくらいにそれを繰り返す。これは王室の表の面を表現するカメラ。そして、コリン・ファースがジェフリー・ラッシュの家に診察に行って座るのはソファーの端っこ。でもカメラはソファーを撮る。こういう、人間を正面に置かないショットも結構撮っていて、これは王室の裏の面、コリン・ファースの内面と言ってもいいと思う。この対比は正面ショットが多いから非常に際立っていた。しかし一番素晴らしかったのは録音。いろんな音が細かく入っていて、これはちっちゃなテレビで見ずに劇場で見ないと良く分からない。でも音の距離とか音の響きとか、凄く丁寧な作りこみをしていて、音を聞いているだけでも面白かったね。そして音楽とシェイクスピアとヘッドフォンで一気に持っていくところは、ハイライトのひとつだった。あと、この映画は演じることの映画でもある。王を演じ、医師を演じる(細かく言えば演じてはいないのだけどね)。そこまで来ると分かるのは、吃音症を治すという症状の治癒ではなく、王を演じる為に吃音症を治すという、王を演じることに全てが集約されていく。そして本番、ちゃんと出来ました。極めて演劇的な要素を含んだ映画だよなあ。