白いリボン

ミヒャエル・ハネケ、2009。この映画はハネケの映画の中では「ピアニスト」と双璧をなす映画だと思う。イザベル・ユペールみたいなスターは出てないけど。普通の映画と言ったら聞こえが悪いが、ハネケ臭がきつくなく、脚本演出がわかりやすく、いかにもヨーロッパ的な芸術映画という感じ。そんな映画は多分ハネケは「ピアニスト」しか撮っていない。カンヌが好きそうな映画でパルムドールも当然の結果と言える。まずはクリスティアン・ベルガーが切り取る美しすぎるモノクロ映像。これは映画館で見たかった。相当お金もかけていて、照明や美術との連携もばっちり。シーケンスメイクもワンカットを基本としているけどワンカットへの偏執的なこだわりはなく柔軟。映像演出には文芸大作のような重厚感があった。一番好きなシーケンスメイクはオルガンみたいの弾いてる教師の元へ女がクビになった泊めてくれと言って来るシーン。あそこのろうそく照明と長回しのカット、アップを多用したやり取り、オルガンを最初と最後に使って美しいシーンだった。ストーリーはドロドロした血なまぐさいものだけど、この映画をミステリーとかの謎解き映画と捉えると痛い目にあう。ハネケを見る人にそんな人がいるとは思えないけれど。謎解き映画だったらこの脚本は最悪だよね。伏線とかそういうの見つけようとしても無いと思う。長い映画だからずっと見ないままでいたけれど、見始めたら時間を忘れて見てしまった。この映画も音楽は無いけど音はしっかり作っていたね。でも心配なのはフランス系でスター使って2本撮ったハネケが、スター映画からまた落っこちたこと。この映画でスター使うなら、オールスター総出演にしないといけない。それじゃ「白いリボンU.S.A」になっちゃうよね。何かハネケの今後は厳しいと思うけど、この映画は本当に脚本のハネケも素晴らしくもちろん監督作品としても大衆迎合しながら格調高い映画を作ったと思うなあ。