秒速5センチメートル

新海誠、2007。これは素晴らしいアニメーション作品。画もモノローグもストーリーも自己陶酔型の作品で、新海はさながらヴィンセント・ギャロよろしく、自分の世界観を表現している。とにかく美意識に貫かれたこの映画は、人間描写が無いというよりは、人間を必要としない映画で、要するにあらすじの内容をそのまま受け取ったらダメなんだな。あのタイミングでこのモノローグを入れるとか、そのタイミングで音楽が鳴ってシーンチェンジとかそういう感じで見ると面白い。特に言葉の流れ、それはヒップホップみたいなものなんだけれど、僕はヒップホップは内容を知らずに聴いているんだけれど、この映画のモノローグを中心とした言葉の羅列は凄くスムースなものだと思った。カッティングも良くって、世界観も被るけれど、大林宣彦のカット割の小気味よさに似たものを感じるね。映画というものはバジェットがデカいと、この映画で監督はどういう仕事をしているのか分からなくなる。つまり作家性が見つけられなくなる場合が多い。これは好みの問題なんだけれど、僕は監督の作家性というのを楽しみに映画を見る。だからジョナス・メカスとかデレク・ジャーマンとかケネス・アンガーが好きなんだよね。彼らを新海誠と比較する気はさらさら無いけれど、この映画は新海がそのまま出てるような個人映画であって、そういう映画は合う合わないが激しいけれど、この映画は解釈が幅広いから凄くいいと思った。