レフェリー 知られざるサッカーの舞台裏

イヴ・イノン、エリック・カルド、デルフィーヌ・ルエリシー、2009。この映画はスイス、オーストリア共催のユーロ2008を舞台にしたレフェリーのドキュメンタリー。UEFA公認ドキュメンタリーということで、UEFAにとって都合の悪いものは全て排除されていると思った方が良い。主人公は特にいないんだけれど、ハワード・ウェブに一番フォーカスが当てられている。試合中の主審と副審のマイクロフォンでのやりとりを聞けたのは興味深かった。僕は副審はオフサイドやゴールの判定をして、ファールなどを副審にはあまり頼っていないのかと思っていたけれど、主審はかなり副審に聞いている。副審から「8番にイエローカードだ」とか指示までされているのは意外だった。でもピッチ外でのレフェリーに関して、この映画は加熱するポーランドのハワード・ウェブ批判などをクローズアップしているけれど、それはワイドショーみたいなつまらないお話である。ピッチ以外には何も見るべきものが無い映画だったのは非常に残念だったね。まあオフサイド判定をミスしたイングランドの副審の自信の無い顔は面白かった。ちょうどいまユーロ2012が始まっていて、開幕ゲームで開催国ポーランドに有利な誤審があった。それによりギリシャに退場があった。このゲームは悪い意味で審判が目立っていた。主審はカルロス・ベラスコ・カルバジョ。スペイン人のレフェリー。このドキュメンタリー的に見るのであれば、この審判団はたとえスペインがベスト4に残らなくても、消えていく審判団になるんだろうね。映画はこのドキュメンタリーの主役、ハワード・ウェブが誤審にをしながらも素晴らしいジャッジをしたと褒められて終わるという、さすがUEFA公認作品的な内容。その2年後にはW杯南ア大会でハワード・ウェブは決勝の笛を吹くことになる。それへの布石が込められた映画。でもサッカーファンにはハワード・ウェブというのはゲームをコントロールするタイプのレフェリーとして有名で、こっちにPK与えたらそっちにもPK的なレフェリーであることは間違いない。目立たないレフェリーでは無く目立ちすぎるレフェリー。もちろん悪い意味でね。それに最後のシーンはサッカーにテクノロジーを導入することを否定する見解が述べられているけれど、今すでにUEFAはテクノロジーのテストを外注していて、2014ブラジルW杯でお目見えかとも言われている。あとレフェリーに関して思うのはレフェリーに詰め寄ったり、文句を言ったりした時点で絶対イエローカードを出さなければならない。それは現行ルールでもイエローを即座に出せる。ここ20年くらい、サッカー選手はすぐにレフェリーに詰め寄るようになってしまったし、クレームも悪質な言葉で無ければ言いたい放題。何人かで審判に詰め寄ることも当たり前の光景になっている。UEFAも今大会は東欧だからレイシズムには警戒すべしみたいな困難な問題より、目先のクレーマー選手団にオールイエローとか出していかないと、どんどん審判の威厳は失われ、最終的にはピッチに審判は無く、テクノロジーだけでジャッジングが行われてしまいかねないと思うね。審判に向かって走って行く行為はとても野蛮だと思うし、恐怖を感じる。そんな選手は試合から追放してしまえばいい。選手の愚行は90年代くらいから多く見られ、一番食い止めることが出来たのは無論UEFAな訳なんだよね。もう一度サッカーをやり直す機会を今回のユーロでまた失ってしまった。UEFAはレフェリー味方どころか敵なのかもしれないなあ。