クロエ

アトム・エゴヤン、2009。フランス映画『恍惚』(2003)のリメイク。素晴らしい純愛映画。今では引く手あまたの女優となったアマンダ・サイフリッドが高級娼婦を演じるんだけれど、娼婦っぽくないのがちょっとねえという感じ。溝口映画の娼婦やゴダールの『女と男のいる舗道』なんかに娼婦の定型パターンを見出すと、アマンダ・サリフリッドはちょっと血統が良い感じがするし、その辺りはアトム・エゴヤンも求めていないのだろうね。ひたすら妖艶に美しくある感じでそれはもう素晴らしすぎた。この映画はリメイクだけあって脚本が凄い。サスペンスとかのニオイを極端に排除している演出も素晴らしい。サスペンスであれば見せ場なところをフツーに撮っている。それでこの映画は性描写が一般映画から一歩踏み込んでいる。だからハイライトのセックスシーンは映像と感情が見事に臨界点に達するんだなあ。映像は全編美しいし、トロントという舞台はどこか知らないアメリカ的な都市にはちょうど良い感じがした。オリジナルは娼婦をエマニュエル・ベアールがやっていてそちらもまた見てみたいなあ。