イリュージョニスト

シルヴァン・ショメ、2010。『ベルヴィル・ランデブー』のユーモアたっぷりの変態映画を期待すると肩すかしを食らう。この映画はジャック・タチのオリジナル・シナリオを元に作られた作品。一見心温まるヒューマンストーリーにも見えなくも無いが、時代の残酷さは相当冷酷に描かれている。手品師や腹話術師が用済みとなって行く時代。そしてこの映画のヒロインであるアリスの若さという残酷さ。彼女は手品師を魔法使いと思って付いてくるんだけれど、よくドラマにありがちな献身的に主人に尽くす純真無垢な少女とイメージが無く、かといって悪い女ではない。若さの象徴としてのファッションと男に走って行くさまは、手品師との距離が離れる決定打となる。でも服を買ったのは手品師であるというジレンマは、年頃の娘を持つ親には共感できる愛情と悲哀を感じさせる。でもこの映画はあまり面白くなかった。アニメーションは相変わらず凄まじく素晴らしいが、音楽が非常に悪かったね。『ベルヴィル・ランデブー』の強烈さはこの映画には無い。面白かったけれどイマイチって感じがしたなあ。