ゴーストライター

ロマン・ポランスキー、2010。お話はつまらないし、ほとんどアメリカでのお話なのにアメリカロケまるで無いし、天候は曇天か雨ばかりで屋外と屋内の撮影があまり違いが無くなってしまっている。僕はこの映画の素晴らしさがよく分からなくて、そもそもお話がつまらないのだから当然だけど、それで映画を見た人の感想なんかを見ていたら、ポランスキーの優雅な演出とか、ヒッチコックからの影響とか書いてあることが多いが、具体的にポランスキーがこの映画の演出において何をしたかというと、あのアメリカの別荘のセットをあの場所に作ったことはポランスキーらしいのだが、細かい演出やシーンメイクにポランスキーらしさは見えない。職業監督としては素晴らしい出来だと思うけど、ポランスキーの映像作家的な部分は『袋小路』や『反撥』や『水の中のナイフ』辺りの60年代に多く見られる。少女レイプやシャロン・テート事件の前。サスペンスというのはどうにも好きになれなくて、それは話しが複雑だから。この映画も先代のゴーストライターの疑惑の死と、ケンブリッジ大学時代の謎が、入り乱れて終盤はよく分からなかった。何度も見なければディテールの描写は分からない部分が多いと思う。僕が解せないのはユアン・マクレガーとオリヴィア・ウィリアムズの関係。マクレガーにはもうちょっと別荘にいてもらってドロドロの展開をして欲しかった。でも死んだ人とか女性関係とかを軽く描いてこそ、この映画は鈍重な重さが無く、リズムのいいサスペンス映画になったのだと思う。