ラルジャン

ロベール・ブレッソン、1983。上映時間85分ということで、気軽に見てしまったのが間違いだった。映画はムチャクチャ面白いんだけど、冷酷すぎて寂しくなってしまった。この映画の構造は、よくある金は天下の回りもの的な部分と、それが赤の他人を巻き込んでいくこと、ファミリー・アフェアーでないことが鍵だと思う。そもそもファミリー・アフェアーとしてこの映画が語られるなら、最初のシーンの親子の金の関係で映画が終わってしまう。そして他人を象徴するメタファーか知らないけれど、数々の扉。この映画は扉を使ったカットが物凄く多い。そしてシーンの繋ぎの情のないことこの上なさ。人間の情の時間はいらないけど、扉の締まる時間はいるような感じ。こういう小津やブレッソンに共通した人間をモノというかモデルとして扱う映画は、見ていて気持ちがいい。音の使い方とか気をつけて見ると素晴らしいことをやっている。特に最後の老人と娘の家のくだりは、映画の美しさに満ち溢れた、崇高なものだったと思うなあ。100点。