ファイブ・イージー・ピーセス

ボブ・ラフェルソン、1970。ラズロ・コヴァックスのカメラも相変わらず見事だし、脚本も演出もお見事。本当に無駄のない引き締まった傑作。特に多種多様な女達がそれぞれに役割を全うして消えていくスクリーンプレイの巧みさ。それがうっとうしくならないのは、その女達の在り方の絶妙さが際立っているからだと思った。ニューシネマ的な映画だとはあまり思わなかったけれど、ニコルソンの居場所のなさとか、カレン・ブラックの底辺っぽさとか、そういった時代を象徴する空気を、ニコルソンの実家であるブルジョワ地味たところにドカンとぶち込むんだけど、それが本当に面白い。ブルジョワ批判でないところもさすが。やっぱりこの脚本は素晴らしいなあ。この脚本の凄さは、舞台をそのまま日本に置き換えても多分名作が作れること。そんな普遍的なことをあくまで低い視線から描いていて、特にニコルソンとスーザン・アンスパックとのやりとりはワクワクしたり、ドキドキしたり、グサグサと突き刺さってくるんだけど、でも決して深追いはしない。マスターピース。100点。