深呼吸の必要

篠原哲雄、2004。この映画のいわゆるストーリー部は良くない。凡庸極まりないと思う。でもストーリーが停滞しているように感じる瞬間の、沖縄の磁場みたいなものが凄い。さとうきび畑でこれから1ヶ月延々と同じ作業をする。住み込みバイトだからまかないとか出て、1日に1円も使わないような生活。なんだかさとうきび畑で働く黒人奴隷の労働歌まで聴こえてくる。これが1900年ルイジアナ州とかならそれはファンタジー映画みたいなものなんだけど、そこは紛れもなく2004年の沖縄だという現実に圧倒される。香里奈がいて、長澤まさみがいる。完全な現代劇であることにひれ伏すしかない。これをスコープサイズ特有の切り取りや演出で人物を描写していく。キャラクターで素晴らしかったのは香里奈。彼女の存在がなかったら、この映画は成り立たない。どんな状況にあっても絶対に在り方を間違えないキャラクターの存在は、つまらないストーリー部を補完するには十分過ぎる存在だった。要は香里奈ばっかり見てれば万事快調に映画は進む。香里奈は所作も凄く凛としていて素敵だった。100点。