こんな私じゃなかったに

川島雄三、1952。水原真知子ってあまり注目の女優ではなかったけど、芸者姿の水原真知子の所作も含めた美しさと言ったらなかった。戦前戦中戦後、数ある日本映画の芸者たちの中でも、この水原真知子の陽性の美しさはトップクラスだと思う。この映画はキャンパスライフと芸者ライフを中心に、戦争やら女性解放やら死に別れやら病気やら借金やら、そういう戦後の要素がごっちゃ混ぜに入っていて、それが神楽坂はん子の唄うテーマ「こんな私じゃなかったに」に乗って見事にシーンが連なっていく。詰め込みすぎの感がある脚本を料理するのは、川島雄三の得意なところで、結構重い部分もあるのに、ここまで喜劇として軽妙にやられては、見ているだけで幸せになる。これだけ濃縮した90分というのもそうそうお目にかかれるものではないなあ。川島映画ベスト10入りか。100点。