愛、アムール

ミヒャエル・ハネケ、2012。死を生きる映画。というか死へと生きる映画。ほぼ全編室内劇で、外部からの侵入に対してやたらと過敏な老夫婦。隠したいものがあったり、触れられたくないものがある。それは映画が進行するにつれエスカレートしていく。老夫婦の愛の関係のみがその不可侵を破れるかと思いきや、それすら阻むものがある。それこをが人間の尊厳であり、死の孤独なのなのかもしれない。ダリウス・コンジのカメラは室内をエレガントなワンカットで収める。このカメラワーク自体もこの映画同様に外部の侵入を嫌っており、カットを割らせることがない。ハネケらしいストイシズムに満ちた映画なんだけど、さてこの興味深い映画が面白かったのかと問われれば、確実につまらなかった。尺が相変わらずちょっと長すぎるし、ジャン=ルイ・トランティニャンとエマニュエル・リヴァの演技は素晴らしかったけど、やっぱり見る側としてはあのジジババとずっと一緒にいるのはツラい。まあハネケの中では低評価。95点。