SR サイタマノラッパー ロードサイドの逃亡者

入江悠、2012。シリーズ第3弾。こんなにもハードなシリーズだったけかと思わせるほど、無慈悲な暴力や罵声がはびこる世界に結果的に逃亡してしまったサイタマノラッパーの1人奥野瑛太。ドラマは中盤まで下手くそな極道映画やバイオレンス映画のようだった。でも映画はサイタマノラッパーの残りの2人、駒木根隆介と水澤紳吾が出てくると一気に展開が変わる。一気に変わるというより突然面白みのある映画になる。僕は出てくることも知らなかったから、出てきてくれて、しかもあの太り方を維持してくれていてありがとうと思った。この2人のある意味すごく鈍感で、しかしだからこそ持ち合わせる不動のメンタリティー。これが前作までの根幹にあったと思う。でもそんな夢見る敗者や仮想的なレペゼンだけじゃつまんないとでも思ったのか、入江悠は奥野瑛太を逃亡させる。その部分はほとんどつまらなかったけど、しかし見せ場の超長回しは素晴らしかった。カメラワークが脚本の進行よりも奥野瑛太をとらえることに力点が置かれていたから、見る方も長回しの見てくれに惑わされることがなかった。そしてここで初めてサイタマノラッパーの3人が再会する。この状況の対比。そしてラストシーン。僕は奥野瑛太がステージへと向かうきっかけがある以上、ラストシーンは蛇足だったと思う。でも多分こういうところが入江悠とか山下敦弘とかの優しさなんだろうなあ。95点。