かぞくのくに

ヤン・ヨンヒ、2012。簡素極まりない映像演出。その画面から見える慎ましやかな日常と非日常。それらがこの映画では見事に調和している。そして100分という絶妙な上映時間。身の丈を心得た素晴らしい映画だと思った。特にほとんど晴れ間もなく、ジメッと湿度高めの千住界隈の空気。井浦新は相変わらず乾いたままだったけど、安藤サクラは湿っていた。この井浦新の場違い感はそのまま抗えない現実を投影していたし、安藤サクラとの対比としては、このジメッと感は映画に深みをもたらしたと思う。撮影は戸田義久なんだけど、僕にはヤン・ヨンヒが撮影しているようにしか思えなかった。カメラはヤン・ヨンヒの眼差しだった。インディペンデント映画故か、脚本演出を超えて監督の存在を感じる映画だった。劇映画初作でここまでシェイプされた映画を作るのだから、今後がとても楽しな作家。95点。