アメリカ通り

キム・ドンリョン、2008。米軍基地界隈の性産業や娯楽産業については韓国と日本は同じ立場にある。38度線にほど近い東豆川市にある米軍基地は市の約40%を占めるという。Googleマップで見てもクソ田舎に基地があるという感じ。そこにある「アメリカ通り」というところは、今はかつての賑わいこそないけれど、バーやクラブやカジノなんかがあったと思われる。でもここの面白いところは、韓国が経済発展するにつれ韓国人売春婦が姿を消し、その代わりにロシア人やフィリピン人などがショーなどの商売目的に入国し、その後に不法滞在者になって、娼婦になったり米兵との結婚でもめたりする。この映画は、そんな米軍基地の持つ生まれながらの暴力性の中に埋もれてしまう部分である、女性たちについての映画。過去にも現在にも厄介事を抱えながら生きている人間の面白くも奥ゆかしい姿。更には性産業ゆえに時代の波などに翻弄される女達の姿。娼婦というものはどこの娼婦も女の気高さみたいなものがあって唸らされる。この映画の中には男性はほとんど登場しない。監督も男性を撮るのを恐れているように見える。そうなると無防備な女性のほうに見る側の興味も持っていかれる。映画では韓国人のばあさんだけが揺るがない人間として登場する。しかし彼女も映画の終盤で死ぬ。そして孤独なロシア娘にも米兵との間に赤ん坊が生まれる。そういう意味でこの映画は「アメリカ通り」の生命の営みについての興味深い映画だった。100点。