花咲く港

木下恵介、1943。木下恵介の監督デビュー作。オープニングと、上原謙が絵を描く辺りで見られる砂浜のシーンがすごかった。砂浜の背景には空しかなく、砂漠のような印象を受ける。それがとてもファンタジックだった。前半はとっ散らかったコメディを大人たちの演技でごまかす感じで可笑しかった。でもパールハーバーをきっかけに、モロに戦意高揚映画の体裁を取り繕い始める。ただ戦争を目的にせずに、戦争を口実にしているところは、さすが映画人の回避策だと思った。この映画は小沢栄太郎と上原謙のペテン師2人が中心の話なんだけど、元々ペテン師コンビではない上に、あの上原謙の純朴さ。あんなキャラクター造形は見たことがない。水戸光子と遊んでるんだけど恋仲になるでもなく、ただあの島にふらりと訪れたような自由さ。戦争の影響もあるかもしれないけれど、良くも悪くもすごくいびつな映画だった。95点。