Dear Pyongyang ディア・ピョンヤン

ヤン・ヨンヒ、2005。素晴らしい完成度。まず語り手として、脚本家として個人作家の枠を超えている。エスニックな話題を取り上げているのに、画面に映るほとんどは、家族の愛情物語だったり爆笑喜劇だったりする。人間の営みと国家の営みをここまでシームレスに語れるというのは監督の境遇を含め奇跡的だと思った。そして映画ではメッセージの断片は語られるものの、最終的な結論みたいな部分は語られることはなく、見る側に委ねてられている。またドキュメンタリー作家によく見られる、取材対象に対して嫌らしくけしかける様子も見えてこない。あくまで冷静。それでいて映画からは熱い激情が感じ取ることが出来る。そして主演俳優を務める父親のキュートな魅力がこの映画の幹となって、その幹がしっかりしているから枝葉も居心地良さそうに伸びている。良い脚本と良い演出と良い俳優、ここまで揃えば映画の質が揺らぐことはないと実感。100点。