風船

川島雄三、1956。脚本が何だかマジメで面白くない。原作の影響なのかもしれない。特にキャラクターはどう考えても古典的。こういう人間がいて、こういう人間がいて、こういう人間がいるから、こうなりましたという感じ。喜劇色もないから川島の演出手腕を見て取るのは難しかった。あとこの映画は『洲崎パラダイス 赤信号』の直前の作品。撮影は高村倉太郎なんだけど『洲崎パラダイス』のような洗練されたフレーミングからのカット割りはほとんど見られなかった。文芸ドラマをその通りに撮っているという印象だった。そんな中、芦川いづみが衣装ともどもカワイさ爆発させていた。ラストの森雅之が踊る芦川いづみを見つけるシーンは素晴らしかった。芦川いづみを使えば皆が泣いちゃうようなシーンにするのは容易だったろうにそれをやらなかった。演者では二本柳寛と北原三枝が良かった。2人とも今を生きてる感じがハンパなく伝わる怪演で、ヒールっぽいんだけどヒールじゃない。タフなんだなあ。こういう奴らはどんな時代でもいるんだよなあと思った。95点。