陸軍

木下恵介、1944。陸軍省後援。情報局国民映画。国策映画で内容もつまらない。しかし噂通りのラスト10分。これは日本映画史に残ると言ってもいいくらいの映画的躍動感があった。田中絹代が自宅で立ちくらみ、軍が行進するラッパが聴こえ、カメラは回転する。田中絹代はゆらゆらと路を間違えながら鈍足で走り出し、そして手持ちカメラが田中絹代を正面から捉えるショット。なんという躍動感。そしてそこからの田中絹代と行進との距離の描写がまた素晴らしい。いろいろあって息子を見つけるんだけど、息子を演じる星野和正の顔の分かりやすさ。カメラはズームもせずドリーもせずパンするだけであっ息子だと分かった。軍の行進だから軍服でみんな同じ顔に見えるんだけど、星野和正は役柄もよかったし分かりやすい顔も素晴らしかった。こんないいシーンがあるのに映画としてはくだらないよなあもったいない。90点。