長江にいきる 秉愛(ビンアイ)の物語

フォン・イェン、2008。この映画は中国湖北省に住むビンアイという生まれながらの大女優の生き様のお話しのみならず、彼女を記録する上で見えてくる社会や国家という組織に関する物語でもある。このビンアイというのがもうアカデミー主演女優賞にノミネートさせたいくらいに素晴らしくって、旦那も佇まいはすごくいい。長江に2人立つ姿は小津映画のようなリリシズムがあった。一人っ子政策やダム建設による強制立ち退きなどの問題を、もちろん当事者はリアルライフだからマジなんだけど、監督は共闘するではなく、あくまでひたすらに優しい眼差しを夫婦に向ける。その眼差しによって、中国で無数に繰り返される所業の一握りがこうして映画として出現した。それもこんなにも美しい形で出現したことに感動を覚えた。もう賞賛の言葉も見つからないような本当に素晴らしい人間ドラマだった。100点。