無言歌

ワン・ビン、2010。飢餓ドラマ。モコモコした人たちがヨレヨレになって歩きながら衰退していく。撮影はゴビ砂漠と地下の溝がメインなんだけど、ゴビ砂漠と空が織りなす地平線が画面の中央に見えて、その地平線を死にそうな人間たちがドラマしてる。地下には死体がゴロゴロ埋まっていて、お手製の溝にはその死にそうな人間たちが死んだように生きている。溝の照明が素晴らしいんだけど、ワンショットでそのまま地上に出ちゃうんだから照明の作り込みはすごい。あとは音。風の音がビュウビュウと聴こえるんだけど、何種類かの音を混ぜてミックスしてる。風の音だけでもすごいから他も相当すごくて、死体を縛る紐の音とか衣擦れとか鍋の音とかがこれまた良い。そしてその死にそうな人間たちが織りなすドラマの巧妙さ。最初は淡々と物事を描き、徐々にドラマが生まれる。そのドラマの寡黙さと唯一の女優が見せる激情。ワン・ビンはドキュメンタリーも良かったけど劇映画も素晴らしい。100点。