ボーイ・ミーツ・ガール

レオス・カラックス、1983。陰鬱としていて閉塞感全開なのにスタイリッシュってところがヌーヴェルヴァグッている。この作品が映画として素晴らしいのは、ストーリーを話しても何も伝わらないというところ。映画より原作小説の方がおもしろかったなんて声が聞かれる昨今、この映画は映画でしか表現できないことばかりやっている。映画狂い丸出しで、失敗している部分もあったとは思うけれど、常に映画的野心に満ちている。カメラは確実にそこに存在し、照明も録音も過剰に映画に介入する。そしてサイレントへのこだわり。登場人物は無駄口を極端なまでに叩かない。それにドニ・ラヴァンとミレーユ・ペリエの心の閉ざしっぷりがかなり病んでいて、すごくひんやりとして痛々しいサイレント映画を見ているような感覚に陥った。カラックスの分身であろうドニ・ラヴァンには唯一人間らしいあたたかみがあった。あとインターホン越しのデッド・ケネディーズのシーンはやっぱりカッコ良かった。あそこまで見てようやく昔見た記憶がよみがえった。95点。