汚れた血

レオス・カラックス、1986。かなりプライベートな作家性を持ち合わせながら、シネフィル臭もプンプンに匂わせながら、ここまで映画素人を原始的な感動へと導く映画はあまりないと思う。見ながら単純にわ~すごいって何度思ったかわからない。それは『ボーイ・ミーツ・ガール』にも共通していて、難しいところを全部無視してもこれだけ感動できるのは「映画」を撮っているからなんだと思う。だからこの映画を映画の基準として見ると「映画」じゃない映画が世の中にはたくさんある。そんな「映画」じゃない映画に慣れてしまって、さらに「映画」じゃない映画のなかにも面白いものがたくさんあって、いつのまにか「映画」を忘れてしまうことがある。疲れているときにはやっぱり「映画」じゃない映画のほうが気楽だったりする。でもこの映画を数十年ぶりに見て「映画」をもっと見たいと思った。ちょっと「映画」じゃない映画を見すぎたなと思った。プリミティブなパンクへの衝動を久しぶりに思い出させてくれた。しかしカラックス、デビューから2作目でここまでやってのけるとはさすが天才。100点。