ポンヌフの恋人

レオス・カラックス、1991。カラックス作品を『ボーイ・ミーツ・ガール』から3作連続で再見。この映画はその中でも特に異質な映画。まず脚本が異常にわかりやすい。見やすいようにわかりやすくまとめましたという作為が見えすぎる。映画全体のムードも悪い意味でよくあるフランス映画に近い。これまでの2作品で見られたヌーヴェルヴァーグ的な遊びごころも極力排除している。しかし随所にカラックスらしいシーンも作っていて、それは相変わらず素晴らしかった。ただ特に前作『汚れた血』のような衝撃の連発、感動の連発はこの映画にはない。例えばドニ・ラヴァンがジュリエット・ビノシュを抱きかかえて向かいのホテルへ運ぶシーンのような、映画の奇跡を感じさせる瞬間もこの映画にはない。素敵な映画だとは思うけれど、作家性の爆発が前二作に比べて極端に少なかったし小さかった。そういう方向性の映画なんだろうけれど『汚れた血』のあとだけに不完全燃焼。95点。