弁天小僧

伊藤大輔、1958。時代劇の巨匠の作品とはいえ、この映画は宮川一夫ワールド全開。伊藤大輔はサイレント期に似たような映画あったなあという印象。平面的になりがちな作り方をしているけれど、それは宮川一夫の撮影があってこそ。宮川一夫がスムースなタッチで切り取っていくさまは、アトラクション的な娯楽性と、フレーミングなどに見られる芸術性とが同居していて見ていて飽きない。人物描写が適当だったり、話がよくわからない部分も多かったけれど、そんなことはどうでもいいような気がした。良かったのは突然歌舞伎が始まるシーン。すごいクールだった。歌舞伎だけやらせるんじゃなく、歌舞伎を舞台として撮影するスタンスも素晴らしかった。そういうクールなお遊びをちょこちょことやっているんだけれど、いかんせんあまり伝わってこなかった。ただこの映画は市川雷蔵が見られるだけで十分だった。市川雷蔵の映画はかなり見ているけれど、この映画の市川雷蔵はその中でもかなりいい。現代的なカッコ良さあり、女形あり、いろんな市川雷蔵が見られる。時代劇ってかなり苦手なんだけれど思いのほか楽しめた。100点。