ある海辺の詩人 -小さなヴェニスで-

アンドレア・セグレ、2011。お話しも描き方も少し拙いけれど、上手に描こうとか、きれいに見せようという下心をあまり感じさせないところがいい。素晴らしい風景のなかにいるチャオ・タオの佇まいは見ものだった。イタリア語もろくに喋れず、奴隷のように搾取されながら働き、中国人らしい嫌な扱いを受けたりする。それでも凛としてゆるがないチャオ・タオ。我が子のための悟りの境地みたいなものと、その人間が本来持っている資質みたいなものが見事に融合されている。でもいかんせん脚本がイマイチ。ジジイたちとかヤンキーみたいなのが生かされているとは思えないし、大金がなぜ降ってきたのか全然意味がわからなかった。あとはラストシーン。ジジイの小屋を焼くシーンで、チャオ・タオと燃え盛る炎をワンショットのなかにおさめてもらいたかった。ラストカットでおさまっているけれど、あれは代役でもいいくらい小さな黒い影だった、実際代役なんだろうと疑われるようなカットだった。そんなラストカットなんてちょっとがっかりだった。ロケーションとチャオ・タオが良かっただけにちょっと残念。95点。