ハイ・フィデリティ

スティーブン・フリアーズ、2000。この映画は原作のニック・ホーンビィ抜きには語れない。彼の作る人物の、絶望的でもないし滑稽でもない偏屈さや不器用さ。そしてそんな人たちへの愛のあるやさしい眼差し。サッカー文学の金字塔『フィーバー・ピッチ』に出てくる偏屈で不器用なサポータたちと、この映画のジョン・キューザックは、ダメな部分と大人な部分が絶妙に同居していて、すぐにニック・ホーンビィの世界だとわかった。多分この映画の原作もとても英国的なんだと思う。それがアメリカ映画として良い映画になったのは、英国らしさをあまり消そうとしなかったことが大きいと思う。豪華なハリウッド版という感じはまるでない。ジョン・キューザックのブレていそうで全然ブレない感じも素晴らしかった。そのジョン・キューザックの彼女イーベン・ヤイレもまた素晴らしかった。あの距離感がね、すごく良くって、ああいう距離を描ける映画はあまりないと思った。とても素敵な二人だった。そしてジャック・ブラックが爆発するライブシーンは、ちょうどよい爆発で、恩着せがましさがなくて素直に感動できた。95点。