わが母の記

原田眞人、2011。なんか認知症モノだし文芸モノだし、仰々しい音楽が流れて、大河のようにゆったりと話が進むのかなあと思って見始めたたら、しょっぱなから会話とカメラのテンポが尋常じゃなく軽快。そして見せ場ではエレガントな演出及びカメラワークにうならされた。登場人物が育ちの良い設定だけにヨーロッパ的というか大正的なノーブルさも随所に見られる気品のある映画。特に撮影は見事。こういう撮影で、テンポ良く話が進めば、いくらでも見ていたい。この映画の素晴らしさは女たちの会話に象徴されるように、常に女のリズムで映画が進んでいくところ。宮崎あおいに古いカメラを持たせたら、それはもう夢の世界。宮崎あおいが話を展開させることも多くて、久しぶりに見た宮崎あおいは素敵だった。役所広司の少々希薄な存在感も素晴らしかった。映画としては役所広司と樹木希林の関係が重要なのだけれど、それがイマイチよくわからなかった。でも僕はそのメインテーマはどうでもよくて、映画のフォルムの完成度の高さに恐れいって見ていた。樹木希林が死ぬくだりはいらないんじゃないのと思った。その前の朝の海のシーンで終わらせたほうが美しかった。最後のシーンはそれまでになかった強烈なクローズアップとかに違和感があって、見ていて興ざめしてしまった。でも必要なのだろうとは重々承知しています。95点。