沓掛時次郎 遊侠一匹

加藤泰、1966。とても美しい映画。至るところに美学があり、野心があり、それを映画として見せる演出力がある。特に要所要所での撮影ビジョンにはうならされた。そして全編を貫くローポジションやローアングルを多用した画のバランス。時折見せるクローズアップも素晴らしい。あとは血とか雪とかそういう小道具の使い方や、それを見事にとらえるカメラ。まるでアート映画のような映画だった。中村錦之助と池内淳子が一年ぶりに再会するシーンなんてファンタジー映画だった。その直前にその一年を台詞だけで見せてしまっているから余計にファンタジーが炸裂していた。そういうリアリティにまどわされない徹底した映画美学がこの映画を高尚なものにしている。話の流れはクラシカル。渥美清が早々に死ぬから、そこで映画のテイストがかなり変わる。でも中村錦之助がいれば十分な映画だった。中村錦之助以外、特にうるさいガキと病弱な池内淳子はちょっと邪魔くさかった。けれどそれもこの映画の評価とは次元が違うというか些細なことだった。この映画は素晴らしい中村錦之助がいて、圧倒的な映画美学が見られるだけで最高という感じだった。タイトルがもう少し読みやすければなあと思う。100点。