ヴィクとフロ 熊に会う

ドゥニ・コーテ、2013。すごく特徴のある映画。特定されない場所。フランス語と風景でわかるんだけど、位置確認情報はない。あとは省略しまくる。のんびりした展開なのに脚本で時間や出来事を削ぎ落とす。カメラも良く言えばミニマリズムを感じさせる。この省略が美学にまでは至らず、結局脚本もカメラも説明しないというだけで終わっている部分が多い。ただこの映画は同性愛映画で、主役二人のレズビアンのみならず、保護観察官みたいな男や数々のモチーフに同性愛を色濃く感じさせる映画になっている。しかしこれもクィア美学的なものは感じられず、中途半端な印象が否めない。映画には男女は出てこない。一組だけ出てくるけど、サイコやモンスターという感じ。ひたすらに異性愛を排している。それ以前にセクシャルな画がない。男性的とか女性的とかそういうのもない。だから健気な娘も伊達男も出てこない。あと熊も出てこない。だから見てくれが悪い。見てくれをわざと悪くして表現したかったものがあるんだけど、それが表現しきれていないという印象。もう一つの売りであるへんてこりんなオフビート感は、伝わるけど上手くはないなあと思ってしまった。ちょっと奇妙な短編小説という感じ。85点。