危険なプロット

フランソワ・オゾン、2012。流麗にして手際がよく、すんなりと映画に引き込まれるも、気づけば何が面白かったのかよくわからない。ファブリス・ルキーニがその文才にぞっこん惚れ込んだ少年を、鍛えるつもりが関係性が微妙に変化していく映画。『小説家を見つけたら』とは似て非なる映画。少年の物語にルキーニがシュールに登場したり、物語に現実のルキーニが登場してくるのは面白い。ただ僕がダメだったのは少年が題材にした家族。これにまったく魅力を感じなかった。ルキーニは数学の問題をリークしてまで少年の物語の続きを読もうとする。これは自分が育てたアイドルが、事務所の金銭がらみで活動停止になりそうなところを、罪を犯してまで金策して救ってしまう盲信的なファンのようだった。でもそうまでしてアイドルを見たいと思わせるだけの説得力に欠けた。結局数学問題リークは最後まで尾を引き、脚本上重要なポイントになる。だからこそ数学問題リークにはもっと説得力あるいはルキーニの狂気を見たかった。あとはルキーニの妻クリスティン・スコット・トーマス問題。現実にしろ少年の物語にしろ、家を出て行ったと想像できる。でも突飛過ぎて不可解だった。でも出て行かなかったという想像ができなかった。出て行かなかったという想像がしたかった。90点。