おとなの恋には嘘がある

ニコール・ホロフセナー、2013。暇つぶしにちょうどいい映画。92分という尺が素晴らしい。軽妙な会話もすごくいい。日々のループのなかで変化する物事を巧みに捉えていく脚本もよいと思う。照明はひたすらに明るく、撮影は主張してこない。良質なテレビ的映画という感じ。演者ではジュリア・ルイス=ドレイファスが素晴らしかった。彼女のいないシーンを思い出せないくらいに出ずっぱり。彼女の雰囲気が映画の雰囲気であり、彼女のバランス感覚がこの映画のバランス感覚になっていると思う。喜怒哀楽が雰囲気の割に控えめなのが素敵だった。それに対して他の人物は表層的な部分しかあえて描かず、恋人ジェームズ・ガンドルフィーニに至っては、他によって語られることで人物が形成される。だから謎に包まれている。親友トニ・コレットは表層の象徴だし、詩人キャサリン・キーナーは恋人ジェームズ・ガンドルフィーニの形成役だから自己がないに等しい。恋人に関する多くの不確かな情報と、少ない確かな情報によって、ジュリア・ルイス=ドレイファスのこころは揺れる。そこがもっと面白く描けていればよかったと思うけど、個人的には恋人が詩人の元旦那だとわかってから映画はつまらなくなった。それまであった軽妙さが薄れてしまった。玄関先とか庭先、あとは椅子やソファーやベッドに座わらせて会話させるのがよかった。90点。