キツツキと雨

沖田修一、2011。最初の30分くらいまでは素晴らしい映画に出会えた感があった。特に撮影は見事だった。そして役所広司がズバリな感じでそこにいる。省略の美学と独特のテンポが素晴らしかった。でも役所広司が映画のラッシュを見たあたりをピークにして失速。それが多分30分くらいだと思う。その後は引き締まった脱力感がなくなって、ただのダルい映画になってしまった。映画内映画が映画をダメにした部分はあると思う。この映画のなかに出てくる映画はおもしろそうじゃない。そもそもそこは求めていないのはわかる。でも結構長時間つまらない映像を見せられた。ただこの映画は本当に嫌なやつとか、悲劇的な出来事とか、そういうものは出てこない。その上、主要人物の深層心理にも深入りはしない。それでいて役所広司と小栗旬のいい感じの距離感は出ていたし、役所広司と息子の高良健吾の、小栗旬経由の関係性もサクッと描いている。でも小栗旬はちょっとかわいそうで、序盤に立場をひたすら隠されるのも奇妙だったし、映画監督小栗旬は変だった。でもライトな映画の良さは存分に出ていたと思う。役所広司はただひたすらに素晴らしかった。95点。