東京難民

佐々部清、2013。まだ終わっていないというテーマの映画なのに、脚本の段階で映画が終わってしまっている。転落から底辺をさまよう映画なのだが、底辺各所でガイドが過剰に説明するから、さながら東京底辺観光案内といったテイストの作品に仕上がっている。しかしその底辺がフツーの仕事だったり生活だったりしたから驚いた。要するにお金が良かったり、バカでも生きていける桃源郷のように見えた。この映画は明らかに底辺を描きたがっているが、この程度の生ぬるい描き方では、底辺があたかも多様性の一部のように見えてしまう。しかし底辺の多様性なんて描きたいものではないと思う。どんなことしても底辺は底辺であるってのが底辺を描く上での強みであり、それが成り立ってはじめて、まだ終わっていないというメッセージが生きてくる。それが見たかったけど見られなかった。85点。