道中の点検

アレクセイ・ゲルマン、1971。共同監督作を除けば、ゲルマンの長編デビュー作。冒頭に炸裂する雨を筆頭に、とにかく映像が素晴らしい。モノクロの映像が、ソ連の雪によって空も大地も白になり、黒が引き立っている。室内では逆に黒に覆われており、顔の白が際立っている。また、絶妙なカメラワークによって空間が設計されている。まるで宮川一夫のような、明確なビジョンを感じさせる美しいカメラワークは、この映画の印象を決定づけるほど強烈なものだった。同僚を埋葬するショットでは、トリッキーなカメラワークが見られ、船が橋の下を通り過ぎるシーンでは、大量の捕虜を映し出し、絶大なインパクトがもたらされた。終盤に炸裂する銃乱射のアクションは、それまで比較的リアリズムに徹していたこともあり、かなりのエンタテインメント性を帯びていた。主人公は、ドイツ軍に寝返ったが脱走し、パルチザンに参加してきた男なのだが、その疑惑の男とパルチザンの隊長との関係性がおもしろい。ふたりは対比としても類似としても描かれる。終盤、疑惑の男はとても映画的な形でヒーローとなる。そして隊長もヒーローとして崇められる。その一連の流れの劇的な対比は、この映画を見事に集約していた。100点。