悪魔の発明

カレル・ゼマン、1957。アニメと実写を合成して作り上げたSF映画。この時代の多くのSF映画がそうであるように、この映画も未来についての映画ではない。背景には原爆投下があり、水爆実験があり、冷戦構造がある。科学は未来を明るく照らすものではなく、恐怖をもたらすものとして描かれる。科学者と独裁者の関係や、物語のあらすじはありきたりなものだ。科学者の成果が意図しない方法で使われようとしている。それを科学者の助手が防ごうとするというのが物語の動機づけになっている。この映画の見どころは、アニメと実写の合成のされ方にほぼ集約される。成功している合成ショットのキュートさや芸術性は、はじめて見る映画体験としての驚きがある。アニメと実写の合成によるキュートな映像と、ユルユルな物語の世界観との相性も悪くない。唯一の女性の振る舞いもおもしろい。この映画のユルさを象徴するかのように自由に動き回っている。ただ長編映画として見たときに、その世界観のよさが長時間キープされているとは思えない。意外性のない物語も手伝って、よいユルさが悪いダルさとなり、映画を退屈なものにしている。この映画の小さな世界観は長所でもあり短所にもなっている。小さな世界観から大きな世界へのアプローチという意味では、例えばウェス・アンダーソンが見せるような上手さがない。小さな世界感から小さな世界へのアプローチにしか見えないのだ。だから、アニメと実写の合成を楽しむだけの映画になってしまっている。短編映画なら、小さな世界だけでもよかったのかもしれない。90点。