モンパルナスの灯

ジャック・ベッケル、1958。モディリアーニの半生を描いた伝記映画。モディリアーニをジェラール・フィリップが演じている。しかし、物語は大胆に脚色されており、いかにもジャック・ベッケルな映画になっている。死の商人の存在が、映画の意味づけを強烈にし、フィクション性もまた強烈に高めている。モディリアーニとは対照の人物であり、接触することはなく背後に潜んでいる。冒頭のシーンが映画を要約している。カフェで絵を売るモディリアーニ。その背後には死の商人がいる。一見なんでもないシーンなのだが、終盤にそれが反復されるとき、見る者は愕然とすることになる。この映画は、夜の闇をとりわけ際立たせる。その演出の頂点となるのが終盤の夜の闇だ。すさまじい舞台がセッティングされ、モディリアーニの背後には死の商人がいる。映画の世界が一変するようなシンプルかつ強烈なシーンである。モディリアーニは、貧乏なのだが絵を売る気がない。それが、絵と女を類似させることで描かれる。自分の女を売るようなことはしたくないのだ。気に入らない絵は破るし女を殴ることもある。そのあたりはベッケルらしい男の映画が垣間見える。モディリアーニにはお金がない。絵以外にはお金を生み出すものがない。しかし絵を売ることを極端に嫌っている。そして健康状態がよくない。自分が死ねば絵は売れると言う。死の商人もそのことを示唆する。モディリアーニがたびたび夜の闇に身を置くことは、彼の死を暗示している。そして冒頭の反復が起こる。男しかいない闇の入口が印象的だ。闇の世界ではじめて、モディリアーニと死の商人は会話を交わすことになるのだ。100点。