ポゼッション

アンジェイ・ズラウスキ、1981。ハイテンション映画ベスト10みたいなものがあれば、11位くらいに潜ませておきたい映画だ。それくらいこの映画の演出とイザベル・アジャーニのテンションはすさまじい。イザベル・アジャーニの狂った演技は、ほとんど支離滅裂な映画を正しい方向へと導いてくれる。演出のテンションもすこぶるいい。カメラも人物もグルグル回るしソワソワとせわしなく動き回る。登場人物以外に人が存在しないかのようなベルリンの街並みや建物の撮影も素晴らしい。浮気悪女の地獄絵図のような血なまぐさい物語なのだが、サイコ妻であるアジャーニとサイコな仲間たちに、ミステリーやサスペンスやホラーの要素をぶち込んだような内容になっている。そして、地下道でのイザベル・アジャーニの狂った演技がハイライトとなる。それが中盤あたりにあるものだから、それ以降は狂気の乱舞がないだけに失速度は高い。演出もマンネリ化し、思わせぶりな脚本が下手に謎を生んでいる。この映画は123分なのだが、90分くらいなら恐るべき映画になっていたのかもしれない。90分であればテンション演技もテンション演出も冴え渡り、飽きることなく見られたような気がする。特に後半のミステリーやサスペンスやホラーの要素は、サイコ特有の強迫的な愛や性を骨抜きにしてしまっている。結果として、支離滅裂さが支離滅裂に演出されているように見える。映画全体にイマイチ感がある一方で、絶大なるインパクトをこの映画は持っている。自主映画に見られる初期衝動のような新鮮な乱暴さを持つ映画である。95点。