マルホランド・ドライブ

デヴィッド・リンチ2001。この物語は、緻密にしてシンプルかつデタラメな世界が描かれており、それらが緻密に共存している。ただ、2度3度と見ないと全貌はつかみきれないのだが、1度見たきりでオッケーなのもこの映画の魅力である。2時間半の映画のうち、2時間は夢の世界であり30分は現実である。現実の30分で映画はたまりにたまった謎を、類似や反復によって映画的に開示する。主に謎解きではなく夢と現実のギャップが描かれることになる。役柄が入れ替わり、台詞の発言者さえも入れ替わる。いらないエピソードもあれば、不可欠なエピソードもある。例えばファミレスで店の裏がヤバいと言っていた二人組は現実でも登場するのだが、そこには因果関係がまるでない。夢の世界のオーディションでは、カミーラ・ローズという現実のローラ・ハリングの名前が出てくる。このシーンは現実の世界で反復されることになる。この映画は謎解きというよりは謎そのものが演出されている。ナオミ・ワッツの夢の世界がハリウッドへの到着からはじまる上に、ローラ・ハリングが記憶喪失者として登場することで、物語が開示する情報に制限がかけられ謎が生じる。しかし、複雑に入り組んだプロットが錯綜し、謎が謎を呼ぶような脚本ではない。ナオミ・ワッツとローラ・ハリングの行動には謎がほとんどなく、それは終盤のふたりの愛の関係にもいえることで、その関係が現実へと激しくリンクする描写となっているのも素晴らしい。音楽もなくこんなロックな映画を作るなんてデヴィッド・リンチのすさまじさを見た。100点。