プレイス・イン・ザ・ハート

ロバート・ベントン、1984。舞台は1935年のメキシコ州の田舎町。家族の連帯や土地への執着が激しくもやさしく語られる。とても丁寧かつ地味に1935年を再現しており、その丁寧さと地味さは、この映画の誠実さを物語っている。たしかな脚本があり、丁寧で的確な演出によって物語が進行してゆく。撮影の堂々たる佇まいはアメリカ南部の広大な大地のような豊かさがある。この映画は受難を豪快に描く。それは竜巻であり、クー・クラックス・クランである。この大きな仕掛けによって、家はボロボロになり、連帯する黒人モーゼスとは別離することになる。それでもサリー・フィールドは確実にそれを乗り越えるだろう。そう思わせるだけの演出が丁寧かつ地味に行き届いているからこそ、サリー・フィールドの成長は具体的事例を超えて存在する。受難と同時に不貞も描かれている。物語上では邪魔な要素にも思えるのだが、ラストの見事な教会のシーンですべてを赦しへと向かわせている。そこには不貞をはたらいた夫を許す妻、いないはずの黒人モーゼス、そして、死んだ旦那と殺した黒人が並んで座っている。これほどシンプルな演出によって、赦しを表現できる映画そのものの懐の深さには恐れ入った。受難によって連帯する家族と盲目ジョン・マルコヴィッチと黒人ダニー・グローヴァーが素晴らしい。冒頭との類似を見せる盲目のマルコヴィッチの銃乱射や、娘を助けに行って娘に助けられながら戻ってくるマルコヴィッチや、ちゃんと預言しているモーゼスや、モーゼスの熱弁に揺れるカメラなどが印象的だ。よい意味で宗教的な正しさに圧倒される映画だった。100点。