山河ノスタルジア

ジャ・ジャンクー、2015。点と点を結ぶ線のようなものを描いた映画である。それは、チャオ・タオと誰か、どこか、いつか、と置き換えることも可能だ。それらが、類似、反復、対照、平行性といった、映画の文法を巧みにもちいながら語られている。ダンスと爆破や飛行機墜落などの派手な装置も効果的に使われる。それは、中国特有の文化をあらわにしながら、点と点のモチーフにもなっている。チャン・タオは対照的な男ふたりと幼なじみなのだが、類似や反復よりも対照を選ぶ。つまり似た者同士ではない男を選ぶ。15年が経過し、チャン・タオは幼なじみに資金援助する。ここで幼なじみは登場しなくなる。これは飛行機墜落と同じ描かれ方のように見える。点と点を結ぶ線はいつ切れてもおかしくないのだ。チャン・タオの父の突然の死も同様だろう。さらには、離れて暮らす息子がオーストラリアへ移住することになり、類似した別離の反復が起こる。父の死までは赤を基調としていたチャン・タオ及びその周辺は緑や黒に変わる。そして2025年に息子はシルヴィア・チャンといい関係になる。オーストラリアは白が基調だ。車のシーンで類似の反復による平行性が提示され、のちに息子はシルヴィア・チャンの先に母チャン・タオを見ていることに気がつく。波打ち際ではじめてその名を呼びかけると、チャン・タオは息子の呼びかけに気づくという映画的奇跡のシーンチェンジがある。そして、1999年と同じ曲で2025年のチャオ・タンのダンス。その類似と対照の見事な反復。この映画は、点と点を結ぶ線、すなわちときの流れというものを、厳しくもエレガントに描いている。100点。