妄想少女オタク系

堀禎一、2007。オタクの現実と妄想をユニークな視点で描いた学園モノ。この映画の力強さは主人公の妄想少女の妄想のすさまじい強度にある。数人の妄想の対象なり妄想仲間との関わり以外、少女の現実はとてもふわふわしている。その象徴が親の存在だろう。声はすれども姿は見えない。同様にクラスメートも存在するのだがしないに等しい。そして妄想少女は最後まで妄想少女のままである。この妄想の強度を軸にして4+1人との人間関係が描かれる。新入部員のシーンが素晴らしい。現実と妄想のあいだで揺れ動く女が妄想に加わる。やや強引な加入ではあるものの、その先の妄想少女ふたりだけの世界の構築が見事だ。マンガの世界を演劇的に戯れるふたりの少女は、まるでミュージカルのような特別な空間を作り出す。映画は、ふたりの女とふたりの男を中心に描かれる。妄想というテーマから見ると、妄想に一番遠い男が一番近い女に恋をする。それはかなりの異文化交流となるわけで、他のふたりが必然的に重要となる。こうして設定された人間関係が、いろんなパターンのふたりが歩くショットを中心として語られてゆく。そこには現実と妄想、同性愛や異性愛が複雑に交錯する。カメラもイマジナリーラインをまたいでショットを交錯させる。終盤の、妄想少女現実に降り立つ、という感じの自転車での移動シーンが素晴らしい。少女にとっての現実という妄想との決別シーンにも見える。ラストで妄想少女ふたりの戯れが反復される。男が妄想少女に告白し、妄想少女の変わらぬ強度が示される。4人の関係に劇的な変化は最後まで生じない。それでも爽快なハッピーエンドがそこにはある。95点。