サラ、いつわりの祈り

アーシア・アルジェント、2004。監督としては二作目。まず、クローズアップや手持ちを多用する撮影からして、かなりぶっ飛んでいる。基本的なショットの構成に慣れ親しんでいるものだから、なおのこと奇妙な映像作劇には驚かされた。そこに暴力描写を抑制する意図で挿入されたであろうイメージが重なり相乗効果を生んでいる。ただ、普通じゃない撮影の一部には確実にダリオのBなテイストが継承されているように感じた。この撮影と脚本とアーシアの演技は見事なまでに有機的に絡み合っている。物語形式を維持しながら、物語的な描写を省略してゆくスタイルによって、アーシアの普通じゃない生き様が見事にカメラにおさめられている。キリスト教の表裏を見せるような映画なのだが、アーシアはその表か裏かは知らないが、宗教的存在をほのめかすほどに一直線だ。その直線が見事に太字で描かれているからこそ、映画は少年の微妙な変化をつかみ取ることに成功している。それがラストの必然性へとつながり直線はより太く揺るぎないものとなる。この映画は製作を『バッファロー’66』や『ヴァージン・スーサイズ』のクリス・ハンレイ、撮影をガス・ヴァン・サントの諸作や『KIDS/キッズ』のエリック・エドワーズが担当している。ソニック・ユースなどが参加した音楽も近年稀に見る素晴らしさだ。アーシアには勝手に同世代シンパシーを抱いていたのだが、この映画は個人的な映画史ともピンポイントでつながっている。だから見たあとの感慨がいつもとは異なる。われわれの映画だと思わずにはいられないし、それが現在進行形であることを改めて確信し勇気づけられた。95点。