海辺のポーリーヌ

エリック・ロメール、1983。はじめて見たロメール映画だったような気がする。だから思い入れたっぷりに見ることしかできない。これまでいろいろ見てきたが、この映画ははじめてのロメール映画として最適だと思う。淡い恋の物語になりそうなところ、男女の恋愛観ガチバトルへとつながってゆくポーリーヌとサーファーのデートがおもしろい。ここでポーリーヌはその直前に従姉妹が語っていたことをそのまま引用したりするのだが、明らかにムキになっているように見える。それが演出ならすさまじいし演技だとしてもすごい。ふたりともムキになっている。そのポーリーヌとサーファーがこの映画を真面目に引っ張る。一方で遊び人カップルは自由を謳歌するのだが、トラブルが発生し、ちょっと入り組んだ物語が展開される。しかしトラブルすらも恋愛バトルにはかなわない。すったもんだがあって、何も知らない女がひとりというのが可笑しい。撮影は言わずと知れたネストール・アルメンドロス。フィックスよし移動よし。海よし屋内よし。でもやっぱり海と空と自然の撮影が素晴らしい。この映画はポーリーヌことアマンダ・ラングレの魅力抜きには語れない。15歳のマセた強気な女って恋愛バトルトーク得意なんだと改めて実感させられた。映画がはじまってから終わるまでに人間関係は若干崩れるのだが、それぞれに若干成長している。その若干な感じが素敵だ。そんな微笑ましい映画であるから、本当の悪人も本当の善人も出てこない。だからほろ苦さを残しつつも海やバカンスによって爽快な作品になっている。80年代以降のロメール映画はミラクルとしか言いようがない。100点。