AKIRA

大友克洋、1988。東京オリンピック前年の2019年が舞台のSFアニメ映画。一般的に、評価の高いアニメ映画というのは、実写映画からの影響をいかに有効な形でアニメに持ち込めるかという部分が少なからずある。しかし、この映画はそういう形で評価されるべきではないだろう。そのうえアニメ映画というものは子供向けであるという前提もこの映画では覆される。サイバーパンク的世界観が最初から最後まで暴走している。わかりやすい物語形式の映画なんてクソ喰らえといわんばかりにぶっ飛ばす。そんな映画に日本有数のアニメーターが集い、10億円も費やして作られたのだから、これは奇跡的な偉業だ。基本的にはSFであるのだが、描かれるのは不良や暴走族や政府や軍部やゲリラや学生運動や、ほのめかされる核のように、超能力以外は身近なモノばかりである。音の独自性もこの映画を端的にあわらしている。そしてこの映画の一番すごいところは、説明をかなり排除しているところだ。アニメ映画は物語がはっきりしていたり論理的であることが多い。しかし、この映画の物語はかなり破綻している。人知を超えたものが覚醒し暴走するさまは、まるで核の暴走のようだ。そして核は爆発する。爆発にいたるプロセスはいろんな方面から語られるのだが、それが起承転結的な物語構造になっていないところがまさしくパンク映画なのだ。超能力に依存しがちな印象はぬぐえないものの、まるでワンシーンを映画にしてしまったかのような勢いには圧倒されるしかない。キャラクター描写をあえてしていないのかもしれないが、もう少しあったほうがよかったような気がする。95点。