ある日どこかで

ヤノット・シュワルツ、1980。タイムトラベルものでありながら、クラシックな佇まいがたまらない。この映画ではかなり大胆な演出が見受けられる。音楽は感情に先行して盛り上げる。赤と緑がとりわけ強調され、映画の大半を占める過去のシーンはフィルター処理によって幻想的な世界になっている。散歩を約束するシーンのカット割も唐突にして大胆だ。そうした目に見える演出が決して過剰なものにならないのもまた、演出のなせる技である。オーソドックスな作劇が丁寧に演出され、それが映画の土台となっている。その土台の盤石さが、大胆な演出に効果をもたらしているし、決して完璧ではない脚本すらも取り込む力となっている。クリストファー・リーヴとジェーン・シーモアのふたりの関係性の演出が見事だ。ふたりの距離とそのあいだにある障壁は注目すべきものがある。リストファー・プラマーは憎き悪役としてのみ存在するわけではない。彼によりふたりの距離はコントロールされる。恋を邪魔するプラマーは、同時にリーヴとの圧倒的な対照が描かれる。それによりリーヴは魅力的にもなるのだが、同時にタイムトラベラーであることが強調される。冒頭の約束を果たせず、どう考えてもアンハッピーエンドにしかならないと思われたのだが、映画は見事な結実を見せる。これもまた演出の賜物だろう。主観ショットの抽象的な使い方。色にこだわり続けた映画だからこそ、ここでの白の演出は際立っている。監督のヤノット・シュワルツは、フランスとハリウッドの良質な部分を見事に融合し、真摯で丁寧な演出によって、優美な作品に仕上げている。100点。