街角

エルンスト・ルビッチ、1940。この映画の原題は『The Shop Around the Corner』という。『桃色(ピンク)の店』という意味不明な邦題で公開された。ビデオ版タイトルは『街角 桃色の店』である。この映画はルビッチのアメリカ時代の後期の作品である。庶民を題材としたコメディで『ユー・ガット・メール』の元ネタとしても有名だ。この映画はルビッチのエッセンスが凝縮されている。パーフェクトな脚本があり、それを上回る演出によって物語は描かれている。冒頭と終盤の店先のシーンがとても素敵だ。特に終盤の雪の降る店先のシーンは美しさとチャーミングさに涙しそうになってしまう。人物の動きとカメラの動きとフレーミングとカッティング。それを見ているだけで、優れた演出とはどういうものかがわかる。緻密な脚本は話の筋を追っていけばおのずとわかるだろう。しかし演出の緻密さを見逃してしまうのはもったいない。むやみにカットすることもなく、動きや視線をきっかけにスムーズにカットする。人物を後追いしながら次のショットでは人物が見事に配置されている。棚の向こうとこちらで話していたのがワンショットで壁にもたれカメラにからだを向けたバストショットに落ち着く。ルビッチは「正しいカメラ位置はひとつしかない」というようなことを語っている。この映画でも、あるショットの始まりから終わりまで、ショットが終わったときに振り返って見ると一目瞭然だ。素人目にもカメラ位置の正しさがよくわかる。ジェームズ・スチュワートとマーガレット・サラヴァン、フランク・モーガン店主をはじめ店員たちも魅力的で素晴らしい。100点。